昨日開催された京都府の市町村駅伝ですが、左足のアキレス腱炎のため欠場しました。直前まで出るつもりで準備をしていましたが、どうしても出場できる状態ではありませんでした。アキレス腱の状態は良くなりつつはあります。完治の目途はまだ立ちませんが、LLLT、アイシング、マッサージ、ストレッチ、気功を組み合わせながら段階を踏んで100%の状態に持っていこうと思います。
さて、せっかく欠場することになったのでこの機会に欠場するまでの心理状態を追いながら心理的なラベリング作業について説明したいと思います。ラベリング作業を行えば、様々な決断を下す時に迷うことが少なくなりますし、後悔を減らすことも出来ます。
ラベリング作業とは何か?
先ずラベリング作業とは何かということですが、これは全ての自分の思考を以下の3パターンに分けることです。
S=Sinn=価値のあるもの
U=Unsinn=価値のないもの
A=Abwesenheit=不在
何に対して価値があるかないかというと、自分の目標に対して価値があるかないかです。今の私の目標は4月に出場するマラソンで勝つことです。そうすると、市町村駅伝を欠場するという決断を下すまでの過程は次のようになります。
アキレス腱を痛める=U
練習予定を変更する=S
アイシングやマッサージ、軽いストレッチ、LLLT,気功などアキレス腱の回復を促進する処置をとる=S
市町村駅伝に無理やり合わせる=U
市町村駅伝に出ても100%大丈夫だという確信が持てるように準備する=S
アキレス腱炎を悪化させるリスクを取って市町村駅伝に出場する=U
アキレス腱を痛めた後、市町村駅伝に出場できるようにあらゆる手段を試み、走る距離も大幅に減らしましたが、前日になっても、駅伝に出ても悪化しないという確信が持てませんでした。そうすると、ラベリング作業の結果として必然的に市町村駅伝は欠場するという結論が導かれます。何だ、そんなの簡単じゃないかと思うかもしれませんが、決断を難しくさせるのは常にAの要素が入ってくるからです。
Abwesenheit=不在というのは、要するに関係ないということです。それをなぜ、不在というラベリングにするかというと、無=nichtsではないからです。「私はこの市町村駅伝に出たい」と思っていました。これは本当の気持ちです。ですので無でもなければ、嘘でもありません。但し、私の「4月のマラソンで勝つ」という目標とは関係ありません。ですから、それは無であるのに等しいのです。無であるのに等しいけれど無ではない、従って不在となる訳です。
悩むというのはこのような状況を指すのではないでしょうか。「市町村駅伝に出るのは、リスクだ。ここでリスクを取るのは賢明な判断とは言えない。でも市町村駅伝にどうしても出たい」というのが悩んでいる状態です。このままいくら悩んでも答えは出ません。アキレス腱を悪化させるというリスクと市町村駅伝に出たいという気持ちは完全に別の次元の話だからです。UであるかSであるかの判断はその人の目標や考え方で変わるでしょう。しかし、Aというラベリングに関しては明らかに別の次元の話です。これをラベリング作業によって自分自身に指し示してあげる必要があります。
「市町村駅伝に出てもマラソンにつながる訳ではないが、アキレス腱を悪化させるリスクは大いにある。従って、市町村駅伝に出るのはUである。うーん、そうは言ってもやっぱり市町村駅伝に出たいな」と思った瞬間に、これはAであるというラベリングをしてやれば、自分自身の考えを客観視することが出来ます。こうすれば、市町村駅伝を欠場するという決断を下した後でアキレス腱の状態が自分が予想していた以上に良くなっても、後悔することはありません。何故なら、「やっぱり市町村駅伝に出ておけばよかった」というのはAで、「アキレス腱の状態が良くなる」はSだからです。
私は「あいつには心がない」とか「あいつには感情がない」などと言われることがありますが、これはラベリング作業の結果、こう思われるのでしょう。但し、心がない=無ではなく、不在なのです。この記事の写真のように、私も親しい友人に会えれば嬉しいです。市町村駅伝では高校生の付き添いとして帯同し、現地でたくさんの知り合いに会えてうれしかったのですが、ラベリング作業の結果は当然Aです。これをどう受け取るかは読み手の皆さんにお任せしますが、私の中では決して感情がないのではなく、ラベリング作業としてマラソンに関係ないものは便宜上Aになってしまうのです。
喝を入れる
このAという概念ですが、実はよく知られている言葉で言うと「喝」に当たります。喝を入れるというのは、馬の尻に鞭打つような場面で言うのではなく、雑念や煩悩が浮かんだ時に「それは君の目標とは関係ないのだよ」と教えてあげるための言葉です。昔の禅僧の目標は悟りや解脱です。目標が全員同じなので、何が「喝」に当たるかは全員共通でした。ですから、「上手い饅頭が食いたいな」も「きれいな女の人がいる。声をかけてみようかな」も煩悩であり雑念であるとされていたわけです。
現在では人それぞれ目標は異なるので、当然何が煩悩で雑念かは異なります。「日本一の饅頭屋さんになる」というのが目標であれば、「あの店の上手い饅頭食べてみよう」はSになりますし、「良いモデルさんをスカウトする」のが目標であれば、「きれいな女の人に声をかける」はSになります。
目標が一つであるとも限りません。「マラソン選手として大成する」だけが目標の人にとっては、「ブログの閲覧者数を増やす」はAにラベリングされますが、「マラソン選手として大成し、たくさんお金を稼ぐ」のが目標の人にとっては「ブログの閲覧者数を増やすための方法を教えてくれる人を探し出してお願いする」はSにラベリングされます。
ラベリング作業は数学のように必然的に唯一の答えに至る手法とは言えません。しかし、多くの人が自分の思考を客観的に見れていないのが実際のところです。それをいったん自分の意識に挙げて客観的に見るのがラベリング作業です。ラベリング作業を使うことによって、悩んだり後悔することが格段に減るでしょう。悩んだり後悔したりしやすい人は是非一度試してみてください。
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