前回の記事では『ミリオンダラーベイビー』という映画を切り口に夢=職業じゃなくても良いし、別に会社員やってるけど夢はボストンマラソンで優勝することでも良いという話から、人間は現状を維持するという無意識の力が働くので意識的にその外側に出ないと自分の可能性を限定してしまうという記事を書きました。
ただこれだけでは、本当に夢が夢で終わってしまいます。『ミリオンダラーベイビー』の主人公マギーもお金には大変困っていましたが、夢を追いかけるためには時間とお金のバランスについて考えなければいけません。社畜として働きながら、自分の夢の実現のために何かをするというのは時間的にほぼ無理です。だからと言って、アルバイトや派遣社員として働き続けるのは金銭的に苦しくなってきます。この間のバランスをどうするのかということについて、私のこれまでの経験から少し書いてみたいと思います。大前提として書いておくと、活躍できるようになれば、スポンサー収入とレース収入のみで充分生活できるようになるだけではなく、一億円を超える年収も可能です。マラソンはそれだけ夢のあるスポーツです。
東アフリカ勢
「マラソンで成功したければ、人生全体について考えなければいけない」
これは私が二十歳の頃にコーチホーゲンから言われた言葉です。勿論、その中にはお金やスポンサーのことも含まれていました。
「東アフリカ勢に勝つのは容易なことじゃない。理由の一つは先進諸国のランナー達は常に財政的なプレッシャーにさらされているからだ」
これは大阪マラソンの前日にコーチホーゲンから言われたことです。逆説的ですが、東アフリカ勢のほとんどは貧しい家庭の出身です。教育も残念ながら、満足に受けられなかった人も多くいます。最近でこそ改善されつつありますが、今30歳以上のランナーの中には高校を卒業していない選手が相当数いると思います。彼らの選択肢は2つです。農業かランニングかです。そして、現金収入が欲しければ走るしかありません。
ある意味では、彼らは失敗しても失うものは何もありませんからノーリスクです。勝てば、現金収入が得られるし駄目でも何も変わらない、挑戦しないよりはましです。マラソンは時間がかかる競技です。日本は世界でもトップクラスの早熟傾向ですが、ケニア人の場合大抵頭角を現すのは20代後半です。30歳を超えてから伸びてくる選手もいます。コーチホーゲンの元選手で33歳で初マラソン、そこからタイムを伸ばしていき40近くになってから2時間8分で走った選手もいます。要するに、彼らはしぶといのです。失敗してもそれで諦めたりしません。何もしないより挑戦する方がましだからです。
欧米諸国の選手の場合
欧米諸国の選手達はこの辺りの事情が違います。皆それぞれのやり方を見つけていきます。私の友人の一人はクレジットカードの負債をどんどん増やして競技を続けましたが、それでも思うような結果は残せず、クレジットカードの負債と自分の努力が見合わないと判断し競技者として走ることはやめました。現在はマッサージ器具を開発して特許を取得して、自分の会社を立ち上げ、仕事や育児の傍らハーフマラソンを72分くらいで走っています。
ウルトラマラソンのトップランナーだったスコットジュレクもクレジットカードの負債が30000ドルくらいあったと聞いています。
別の友人は故障で手術を経験し、スポーツ店でフルタイムで働きながら練習を続けてお金をため、その後仕事をやめてスポンサー獲得のためにマラソンをやり初マラソンを2時間12分で走ってスポンサーを獲得しました。その後は快進撃を続け今ではマラソンヨーロッパ記録保持者です。
また別の友人は監査会計士として働きながら競技を続けています。彼の場合、仕事は電話とメールで済ませ、ケニアを中心に世界中様々な場所でトレーニングを続けています。彼の場合は、ランニングでもいくらか稼いでおり、監査会計士としての収入とランナーとしての収入の両方があります。それでもお金に困らないということはないようで、長く付き合っている彼女がいるけどお金がないから結婚はまだだと言っていました。
ケニアのトレーニングキャンプで同室だったオリバーさんも電話やメールで家業の手伝いをしながらケニアでトレーニングしていました。なかなかの強靭な性格の持ち主で時間にルーズなケニア人にイライラしている私を横目に、なれたもんだぜと言う感じですっかりケニアの生活に順応していました。トレーニングキャンプが全く掃除されていなかったり、布団も洗濯されていないので私が「掃除と洗濯をしよう」と言っても、「ベッドに入って目をつぶればきれいでも汚くても同じだ」と返され全然相手にされませんでした。
国際電話やメールは高いと思う人がいるかもしれませんが、ケニアにもインターネットは通っています。Gmailやwhatsappなどのアプリを使えばお金はそれほどかかりません。
もちろんアルバイトをしながら競技を続けている人もたくさんいますが、世界中の色々なランナーをみていて思うのはやっぱりインターネットを使うのが一番だということです。インターネットビジネスという言葉を使われることが多くなっていますが、私はこの言葉にとても違和感を覚えます。インターネットビジネスといってもインターネットそのもので商取引をしている人は、ゲーム、アプリ、ソフトウェアのプログラマーなど高度な専門知識を有する人たちだけです。因みに「最先端テクノロジー」という言葉も良く使われますが、いわゆる「最先端テクノロジー」というのも既に1980年代、90年代に開発され、もはや「最先端」ではなくなったものが我々庶民に下りてきているものです。決して最先端ではありません。
さて、インターネットビジネスに話を戻しますがインターネットビジネスと言ってもインターネットを媒体として使っているというだけの意味であって、全然特別なことではありません。
私の例で言えば、私はクラウドワークスというサイトを使って翻訳や記事の編集などの仕事を受注していました。これはインターネットという媒体を使っているだけで、やっていること自体は100年前と変わりません。因みにこの手の仕事の特徴は成果報酬型のものが多いということです。成果報酬型という言葉になじみのない人のために述べておくと、派遣社員やアルバイトが働いた時間に対して給料が支払われる時間給なのに対し、成果報酬型の仕事では一文字当たり0,8円や英会話レッスン動画の作成で一本3000円というようにこなした成果に対して報酬が支払われるのです。
私の場合は、その時間拘束される時間型労働よりも自分のペースで効率よく進められる成果報酬型の仕事を好んで選んでいました。練習がハードな時期はあまりやらず、練習が楽なときにまとめてやるというように自分のペースで進められるのがメリットです。またこのような仕事は知的作業が多いので、作業しなくても頭の中で仕事を進められるのもメリットです。
現在はアミノサウルスのインスタグラムとフェイスブックページにも様々な記事を投稿していますが、これもインターネットを媒体としたビジネスです。アミノサウルスにスポンサードしていただいているのも私のウェブサイトのブログ記事の質の高さを評価していただいたのが理由の一つです。そういう意味ではこれもインターネットビジネスです。因みに他にもスポンサーの選択肢があったのにアミノサウルスを選んだのは嵜本社長の人柄に惚れたからです。
コーチホーゲンとはGmailとwhatsappを用いてメッセージや電話で話し合ってトレーニングやレースを決めているのでこれもインターネットを媒体としたビジネスです。
既に1960年代、1970年代にニュージーランドの名コーチ、アーサー・リディアードが国際郵便で選手を指導していましたが、その頃とやっていること自体は変わりません。媒体が国際郵便からインターネットへと移行しただけです。
最後に
夢をかなえたいと思った時に、お金が問題となることは多々あります。芸能人の方の話を聞いていても駆け出しのころは月数万円しかもらえなかったというような話をよく聞きます。その気になれば、好きなことでご飯を食べていくことは可能だと私は思います。問題はそうなるまでの間をどうしのぐかです。自分の分野で腕を磨きながら、お金を稼ぐことを考えると、1.インターネットが使えること、2.権利収入になること、3.作業内容が単純であることが最低条件になります。私があなたの為に出来ることは、この3つの条件を満たしている案件を紹介することくらいしかありませんが、「真剣に好きなことだけをして生きていきたいあなたへ」というページで、詳細を解説していますので、コチラからご覧ください。