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先月500km以上走ってみて学んだこと

 こんばんは。深澤です。


 さて、昨日の夜にインスタを開いたら、毎月末恒例の走行距離のお披露目会が開催されていたので、私も先月の走行距離と練習内容をざっと振り返りました。


 まず先月7月の走行距離は501kmと、2レースを走った割にはしっかりと走り込むことができました。前半はおそらく300km〜350kmのペースだったと思うので、後半は600km超えの走り込み。なので結構疲労感満載ではあります笑


 ちなみに500kmというのは、大人になって走り始めてからは最高記録タイです。今年の1月(2月の大阪マラソンに向けた特異期)と同量のトレーニングになりました。


 ただ、1月の500kmと7月の500kmは、数字は同じでもその中身は全く違うものでした。それによる主観的なキツさであったり、得られたトレーニング効果もまた違ったものになったはずです。今日はその辺りも振り返ってみたいと思います。


 まず1月の500kmの時と先月7月の500kmそれぞれの大まかなトレーニング内容について。


1月

基本1部練習。

一回あたり18~20km以上走る日もザラ

その代わり走らない日は30分ジョグ程度


7月

半分程度は2部練習。

一回あたりは10~15kmが多い。

休養日にも10km以上走行


 大まかな違いはこんな感じです。


 では次に主観的なキツさです。まず1月の方に関しては結構頑張ったなという感覚がありました。というのも、この時は2月の大阪マラソンに向けた特別期〜特異期だったからです。マラソンの特異期ということは、要はマラソンレースに違い刺激の練習が重要になるということ。つまり頑張る日は高強度で20kmのテンポランだったり、35kmの高強度走(Mペース95%)など、かなり集中力を要する練習が入っている代わりに、休養日は30分ジョグで終わりみたいな感じでメリハリがはっきりしていた期間でした。


 次に先月の練習についてですが、こちらは逆にあまりメリハリはない感覚がありました。7月前半はレースがあったので、メリハリつけた感じになっていましたが、中旬からはマラソンの土台作りのトレーニングを始めたこともあり、毎日の練習の強度と量を平均的に頑張ることを意識しました。


 さらにこの暑さが厄介で、私は暑いと一回に長い距離を走るのが心身ともにしんどいと感じてしまうタイプでもあるので、朝と夜に分けて走行距離を稼ぐようなスタイルにしました。


 その結果、一回あたりでものすごく集中力を発揮してトレーニングすることは少ない代わりに、休養の日だったりつなぎ程度の日でも10km以上、つなぎなら25kmくらいは走っていたりしました。しかし強度は落としているので頑張っている感はありません。そんな練習を積み重ねていって、気づいたら500km到達していた、というような感覚でした。


 こんな頑張っている感があまり無いような練習でも大丈夫かな?と一瞬不安になってしまうこともありますが、むしろ今のような土台づくりの時期にはそれくらいの強度でトレーニングを反復することに明確な効果があるんです。


 ちょうど実は今、池上が新たな土台づくりの講義制作中で、私は昨日それを受講していたのですが、その中の理論の部分で解説されていた内容を見て土台づくりの時期に平均的に頑張り続けることの意味が語られていました。


 私たちの体は酸素を使ってエネルギーを生み出す「有気的代謝」と、酸素を使わずエネルギーを生み出す「無気的代謝」という二つの代謝システムがあるということはこれまでもお話ししてきました。


 これらの代謝システムを比べると、酸素を使わない無気的代謝のほうがより大きなエネルギーを生み出せるのですが、私たちの体は日常生活やランニングでは、あまりこの代謝システムを積極的には使いません。理由は無気的代謝を使うとある「代償」があるからです。


 その代償とは「乳酸と水素イオン」の発生です。無気的代謝は素早く大きなエネルギーを生み出せるのですが、その代わり「乳酸と水素イオン」がどんどん生成されてしまうため、血中乳酸濃度が上がる一方になってしまいます。血中乳酸濃度が上がりすぎると、今度は代謝がうまく回らなくなります。代謝というのは私たちがエネルギーを生み出すためには欠かせないものなので、これが阻害されるということは、それだけ体内で生み出されるエネルギー量が少なくなるということです。つまりランニングにおいては、同じペースを維持するのが難しくなるということです。


 なので基本的には、有気的代謝でエネルギーのできるだけ多くを賄い切れるようになることが重要であり、そのために有気的代謝の効率化をトレーニングから進める必要があります。これはマラソントレーニング、とりわけ土台づくりの時期にやっておきたいミッションの一つ目です。


 そしてもう一つ土台づくりの時期に達成しておきたいミッションはあります。それはしっかりと筋持久力を高めておくということです。この筋持久力についても、現在製作中の池上の講義を見ていてまた学びになった部分がありました。それは、骨格筋内で酸素を使ってエネルギーを長時間生み出し続ける能力を高めておく必要があるという点についてです。


 元々私の中で筋持久力といえば、主に下半身の筋肉群で、マラソンで長時間走り続けた時に接地の衝撃に耐え続けられるだけの筋肉の持久力であるという捉え方をしていました。これ自体は間違っていないのですが、今回もう少し深掘りした視点が手に入りました。それが「骨格筋内で酸素を使ってエネルギーを長時間生み出し続ける能力」という見方です。


 要するに、ふくらはぎならふくらはぎ、太ももなら太ももといった感じで、各所でしっかり長時間エネルギーを生み出し続けられるかどうかということです。そのためにはちゃんと各所に酸素が十分に届き続けるだけの「酸素の流通網」が必要なわけで、それが毛細血管密度なのです。毛細血管が体の各所まで行き渡っていれば、より十分な酸素が運搬されるので、体内の各所で酸素を使ってエネルギーを生み出し続けられ、脚も元気に動き続けるということです。


 さらにいうと、酸素を使ってどれだけ効率よくエネルギーを生み出せるかどうかは、体内に存在するミトコンドリアの機能がどれだけ優れているかと、その数によります。なので、毛細血管密度を向上させ(=流通網を発達させ)、ミトコンドリアの数を増やして働きを良くする(=各所での生産性を向上させる)ということがもう一つ土台づくりで達成しておきたいミッションなのです。


 そして、これらのミッションを達成するには、池上は土台づくりの時期においてはホメオスタシス機能のちょっと上の刺激を高頻度でかけ続けることが重要であると説きました。ホメオスタシス機能というのは、生命を維持するために私たちの体にはもれなく備わっている機能のことです。例えば、体温がだいたい36~37度で勝手に保たれるのも、意識しなくても心臓が勝手に脈打つのも、このホメオスタシス機能による恩恵です。


 このホメオスタシス機能を上振れるトレーニングをするというのは、身体的にも心理的にも不快を感じることになります。ただ、特に身体的に不快に感じるほどやってはいけません。なぜなら、土台づくりは継続的にトレーニングを積み上げることが何より重要だからです。なので、身体的には不快に感じない程度に、あくまでちょっとだけこのホメオスタシス機能の上をいくくらいの刺激をかけ続けるのです。


 それを言葉に表すなら「中強度・中量・高頻度」です。トレーニング一回あたりの強度はあくまで翌日に疲労を残さない中強度、そして一回あたりの量は多過ぎず少な過ぎずの中量、それを週に少なくとも3回、できれば5回程度行うという意味での高頻度です。


 さて、ここまでの説明を踏まえて、あらためて私の先月のトレーニングに戻ってみます。1月の500km突破時に比較して、明らかに「中強度・中量・高頻度」な内容になりました。なぜなら、2部練習の導入や、暑さからある種逃げたことによって一回あたりの強度は完全に中強度以下に抑えられ、走る量も暑いから25km以上を一度に走るのは難しく、少なくとも10km、多くとも25kmということで中量に収まり、中強度レベルのトレーニングは週に5回以上は入れることになったからです。


 私自身も先日「ほぼ運動なしの喫煙会社員がたった3年でマラソン2時間32分まで到達した土台づくり講座」という講義を制作したくらいですから、土台づくりのイロハは当然理解しています。なので元々私が考えてやっていたトレーニング内容もちゃんと池上が解説している通りの内容になっていたのですが、ただ今回新たに池上がそもそもの人間の体の作り、そしてその作りに沿った必要な要素をより深い視点で解説している講義を見て、私がやっていることはここにつながっていたのかと、その方向性に対してより自信を深めることができました。


 ということで、先月市民ランナーになってから2回目の500km超えをして学んだことは、土台づくりの時期における「中強度・中量・高頻度」というやり方がなぜ効果的なのかということでした。そして、当然ですが1月に500kmを超えた時よりも圧倒的に練習密度としては高いので、体の回復力の向上や、2ヶ月〜3ヶ月後の走力の地力の向上にはだいぶ効果を得られているだろうということは確信しています。


 ただ、まだまだ土台が出来上がっていないなということも感じている次第であり、その証拠に日々トレーニングの疲労が抜けきれないということがあります。これはトレーニングの負荷が私が快適に感じるホメオスタシス機能のやや上をずっと行っているということだと思うので、適切な土台づくりがもう少し進んでいくと回復力が向上して脚が重く感じなくなってくると思います。


 逆に脚の重さが8月中旬くらいになっても全く抜けないのであれば、ちょっと過重負荷になっている可能性は否めないので、それは調整していかなければなりません。そのあたりは適宜対応するようにしたいですね。


 なお、本文中にも少し話しましたが、現在弊社代表の池上秀志による新講義「土台づくりトレーニング研究」を制作しております。今週金曜日(2日)から三日間限定で販売予定となっておりますので、ぜひ楽しみにしていただけますと嬉しいです。


 先日私がリリースした土台づくり講座との違いは、今回の池上のものはより理論の部分にフォーカスして解説している点です。そもそもマラソンというのはどういう要素でタイムが決定するのか?という決定因子を人体の構造や運動生理学的観点からかなり深く解説していき、その上での土台づくりトレーニングを考えていく内容です。


 講義レベルとしては大学講義くらいのハイレベルな内容です。より深く学びたい方にはとてもおすすめな内容です。詳細はまた、メルマガにてご案内いたします。



ウェルビーイング株式会社副社長

らんラボ!代表

深澤哲也

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ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:32:18(2024)

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