初めての来客
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)
- 4月1日
- 読了時間: 9分
こんばんは。深澤です。
昨日は初めてお客様が事務所へお越しくださいました。
来てくださったのは、榮井悠祐さんです(写真向かって左)

いや、まさかスーツでお越しいただくとは!こんな普段着バリバリのジャージ男ですみません^^;
榮井さんは度々私のメルマガでもご紹介させていただいているので、ご存知の方も多いかもしれません。
ウェルビーイングの初期の初期、2020年にはすでにウェルビーイングオンラインスクールの前身である講義をご受講くださっていて、その後現行の内容になったウェルビーイングオンラインスクールの第1期生と言っても過言ではない方です。
そう、マラソン3時間16分から、受講後たった一年で2時間33分まで記録を伸ばしたあの方こそが榮井さんです。
実は私は、榮井さんに憧れていました。
そんな夢みたいなレベルのシンデレラストーリーが本当にあるなんて、ただただ驚きでした。
ウェルビーイングで仕事を始めたのが2021年でしたが、その時がちょうど榮井さんがこの大躍進をした時でした。
この話を聞いて
「うわぁ、これは自分もこの会社で副社長やるなら頑張らなければ」
と思ったものです。
自分もオンラインスクールを使って榮井さんみたいになれたら、真剣な市民ランナーのみなさんへお役に立てる情報発信ができるようになるのだろうな・・そんなことをぼんやりと考えていました。
そしてその背中をずっと追いかけて追いかけて、その3年後には榮井さんと全く同じく3時間16分から1年後に2時間32分まで記録を短縮することに成功しました。
榮井さんはある意味私のマイルストーンになってくれた恩人でもあるのです。
そんな榮井さんから「ご飯に行きましょう!」とお誘いいただいていたのですが、お互いになかなか予定が合わなくてずっと行けていませんでした。
時々一緒にトラックに行って練習したりはしていたのですが、榮井さんもお子さんが4人いらっしゃるパパですから、中々ご飯に行く時間を合わせるのが難しかったのです。
ですがこの度、榮井さんが宝塚までお越しくださって、一緒に食事をしてきました。
そして、その後事務所にて一緒に対談動画を撮影しました。(近日YouTubeにアップします!)
実は、私が榮井さんにどうしても聞いてみたかったことがあったんです。
それは、うまくいかない時の心の保ち方について、です。
榮井さんは私からみたら本当に心の強いお人です。
そう感じる場面をこれまで何度も何度もみてきました。
先ほど榮井さんは以前、3時間16分から2時間33分までたった1年で飛躍されたと話しましたが、実はその後はとても苦労が続いていました。
その翌年、2022年には防府読売マラソンで2時間32分に記録を伸ばすことができたものの、そのまま良い状態を作って2時間30分切りも狙えるな、という状況で臨んだ2023年のびわ湖マラソンでは、前日宿泊しているホテルで眠りについた後、
「あれ・・何か体がおかしい」
そう、発熱してしまったのです。
朝起きたらもう、とても走れる状態ではなく、泣く泣く棄権せざるを得ませんでした。
その9ヶ月後、憧れだった福岡国際マラソンへエントリーされていてまた2時間30分切りは狙える練習ができていながらも、直前に体調不良となりレースは棄権することになりました。
それでも榮井さんは、やるべきことを淡々と続けて努力を重ねました。
その3ヶ月後、大阪マラソンへエントリーされていたのです。
体調も戻って順調にトレーニングを積めていた矢先・・・
2024年1月1日、石川県の能登半島で地震が発生し、大災害となりました。
榮井さんは消防のお仕事をされているため、この災害発生に伴い毎日始発で仕事に行き、終電で帰るような状況になりました。
もはや、トレーニングができるような状況ではありません。
榮井さんは1月いっぱいまではなんとか合間を見つけてトレーニングをしようと努力されていましたが、あまりの状況に2月に入る頃には
「一旦、ランニングのことは忘れよう」
そう決めて大阪マラソンの棄権を決意されました。
そうして、震災復旧に係る業務に全力で集中され、その後4月ごろからようやく徐々にトレーニングができる状況になられたといいます。
その頃にはすでに全然走っていない状況が続いていたので、まずは体力を戻すところから始められました。中強度走をやってみても、状態が良かった時は3'50"/km~4'00"/kmで16~20kmくらい行けていたのが、その時は4'40"/kmくらいでもう中強度だったといいます。
加えて、この年から榮井さんはご長男が所属するソフトボールクラブでのヘッドコーチに就任されたので、土日は基本的にソフトボールの練習で終日時間が取られることになりました。
榮井さんは、そういったご状況も考慮して、しっかりと基礎の積み上げに徹底することにしました。そして、もう一度しっかりと積み上げて、12月の福岡国際マラソン一発にかけて頑張ろうとまた進め始めました。
その後徐々に走力も戻ってきて、夏には月間600kmを超える走り込みをされながら、確実に強い土台を作り上げられました。
そうして順調にトレーニングができて、ここから徐々に特異的トレーニングに移行しよう、そう思っていた矢先・・
2024年9月、またしても石川県の能登を災害が襲います。今度は、豪雨での被害です。
お仕事柄、またトレーニングには集中できない時期が始まってしまいました。ただ、数週間ほどはトレーニングがほとんどできない時期があり、結果としては本来やりたかった特異的なトレーニングは、できる状態にはなりませんでした。
少しお仕事も落ち着いてきた10月後半、榮井さんはこう考えました。
2時間30分を狙うためのペース(3'32"/km)を基準としたトレーニングをこなすのは、今の体の状態では無理だ。それならもう目標ペースを、福岡国際でしっかり完走できるライン(3'40"~45"/km)に落として、そこに対してしっかり体を適応させて行こう、と。
そのように目標を切り替えたことで、気持ちの部分でも少し落ち着いたとおっしゃいます。そうして、トレーニングのレベルも下方修正した目標に合わせてこなしていき、迎えた福岡国際マラソンでは2時間36分と好タイムを出し、2時間20分台ランナーでもバンバン回収されてしまうハイレベルな福岡国際マラソンを見事完走されました。
ご本人的には、もちろんこれがベストな練習ではなかったけれど、とはいえあの状況の中では良い判断をして、最低限走れる状態を作れたのではないかということでした。
本当に、これってものすごく勇気がいることなんですよね。ましてや福岡国際マラソンは、榮井さんにとっても目標そのものだったわけです。ずっと目標としていたその舞台、ついつい自分の今の状態に対して、目標を高く持ちすぎて失敗してしまうなんてことはよくあるのですが、そこでしっかりと自分の体の声を聞いて、確実にトレーニングに対して適応させていく、これは誰でもできることではないと思います。
何より、この榮井さんに今回聴きたかったのは、うまくいかない時の心の保ち方です。
ここまでのお話を読んでみて、どうでしょうか?心が折れませんか?私なら一回目のマラソン前日の夜に寝ていて発熱したというのだけでもかなりショックです。
もちろん、榮井さんも相当ショックだったと思います。実際、対談動画を撮っている途中にも、この2年間を振り返って、涙が込み上げてくるシーンがありました。ずっと悔しさをグッと堪えて、耐えて、耐えて積み上げてこられたのでしょう。
私は、榮井さんに聞いてみました。そういった状況の中でも心を保ち続ける秘訣は、なんなのか?と。
すると榮井さんは「最終的に2時間20分を切りたいという目標に向かって考えると、これも一つの経験と捉えるようにしていた」とおっしゃいました。
そう、ヴィジョンです。最終的にどうしても達成したいと、心から思えるヴィジョンが、榮井さんを突き動かしていたのです。
実はウェルビーイングオンラインスクールでは、一番最初に設置されているのは「マインドセット編」なのですが、このマインドセット編では自分の中に強いビジョンを作るための方法論やその理論を解説しています。
ヴィジョンというのは、目標でもありますが、もっともっと大きなものだと思ってください。つまり、最終ゴールです。本当に心からやりたいと思えて、かつ現状の外側にあるものです。
現状の外側とは、今のまま普通に取り組んでいても達成不可能な、もはや現実味のないものです。とはいえ、あまりに現実味がなさすぎて、感情が動かないのもダメです。例えば私でいえば、マラソンで2時間10分を切るというのは、あまりにも現実味がなさすぎてそこに対しては心が動きません。
ですが、ホノルルマラソンで日本人トップを取る、ということを考えると、めちゃくちゃワクワクします。絶対やりたい!と思います。そのためには、2時間20分切りの走力がいると思いますし、それなら2時間20分を切りたいと思うのです。
では、なぜホノルルマラソンで日本人トップを取りたいのか?と聞かれると、特に理由はありません。多分、新婚旅行でハワイに行ってホノルルで走った時に、ここで日本人で一番で走れたら最高やろな、って思ったくらいです。それ以上の理由はないです。
それこそが、本当に心からやりたいことです。つまり、理由を問うてもそれ以上に何も出てこない、だけどとにかくやりたいんだと思えることです。
榮井さんにとってはそれが2時間20分という目標、ひいては女子の日本記録(2時間18分)で走るということなのだと思います。そのヴィジョンが強く設定されているから、これだけの逆境続きでも折れずに、腐らずに努力を続けてこられたのだと思います。
昨日、榮井さんとの対談を終えて、駅までお送りした後の帰り道、一人そんなことを頭で考えていました。
そして、私の頭の中でもう一度、今のヴィジョンを思い直してみました。やっぱり、ホノルルマラソンで日本人トップしてみたいと思いました。
だから、私は今年ホノルルマラソンに出ます。今年日本人トップを狙うのではないですが、やっぱりまずは現地でコースを走って、この目でみてみたいのです。今年はあくまで旅行を兼ねていく予定で考えていますが、3回目くらいで日本人トップを本気で狙いに行きます(つまり5年後か6年後くらい?)。
そんなわけで今日は、榮井さんからの学びを少しだけシェアさせていただきました。近日中に榮井さんとの対談動画をアップしますので、ぜひ楽しみにしておいてください。
ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也
追伸
榮井さんはうまくいかなかった時になんとか努力を続けられたもう一つの要因を、池上からのメールでのサポートとおっしゃっていました。
準備してきたものを発揮するスタートラインにも立てない状況が続き、心が折れそうで辛くてたまらない、そんな状況においても、的確にその時欲しい言葉をかけてくれたことで救われたというお話をしてくださいました。
そんな池上をまた驚かせるような自己ベスト報告をすることもまた、今のモチベーションの一つになっていて、それがまだ頑張れている理由ですということでした。
私も日々、たくさんの受講生様へメールサポートさせていただいていますが、榮井さんにとっての池上のように、ランナーさんの道を照らすことができているなら本当に嬉しいですし、またそうなれるように引き続き精進していきたいものです。
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