近頃、ランネットをひらけば秋シーズンのマラソンが続々と抽選エントリーを開始していますね。あなたもすでにいくつかお申し込みされましたか?今年は、何のマラソンに出場される予定ですか?何に出ようかなぁ。なんて考えている時が一番楽しいものですよね。
私はというと、今年は3年連続落選している金沢マラソンと、昨年W抽選で見事W落選を果たした神戸マラソンには早速抽選エントリーしていますが、どうなることか・・。早いもので、先日マラソンシーズンが終わったかと思えば、もう早速次のシーズンのマラソンのことをぼんやりを考える時期になってきましたね。
次のシーズンのマラソンといえば秋以降の話ですので、つまりは何ヶ月も時間があるような話。 次のシーズンこそはサブ3、サブ3.5、サブ4するぞ・・!と、それぞれ想いを馳せておられることと思います。私も同じです。来シーズンこそはサブ2.5、できれば2時間25分ギリまで行きたいと願う、あなたと同じ市民ランナーです。
そう、記録向上を目指して走っている市民ランナーなら誰しもが思うこと。それは「次のシーズンでは必ずサブ〇〇してやる!」といった、己への挑戦です。やっぱりどうせやるなら最高の結果を出したいと思うのは当然のことでしょう。
しかしながら、良くも悪くも次のシーズンまではまだ「時間」があります。そう、何ヶ月も。だからこそ「夏になったらマラソン練習頑張るか」とか、「9月になったら・・」という予定を立てつつ、今は体力が落ちない程度に走っておこう、という方も少なくないのではないでしょうか。
もちろんそれでもいいと思います。実際、本格的なマラソントレーニングは夏(具体的には7月ごろ)からでも決して遅くないと私は思います。ですが、その時期を迎えるまではとりあえず繋ぎのように走っているだけというのは勿体無いともまた思うのです。むしろ、今の時期だからこそできることがあります。そしてそれは、秋以降のマラソンで最高の結果を出す為には絶対に避けては通れないことなのです。
今日はそんな、秋以降のフルマラソンで最高の結果を目指す市民ランナーの方にはぜひとも知っておいてほしい、避けては通れない二つのことをお話ししていきます。
絶対に避けては通れないことその1:マラソントレーニングの土台づくり
夏になったらマラソントレーニングを頑張ろう、ともし思っている場合、実はそこに落とし穴があるかもしれません。というのも、車が急には止まれないように、マラソントレーニングというものも急には始められないからです。
マラソンで最高の結果を出すための最高のマラソントレーニングを積もうと思ったら、当然ながらそのための“下準備”が必要になってきます。その下準備とは、マラソントレーニングのための土台づくりです。
「え?マラソントレーニングの中の基礎づくりの時期が土台づくりなんじゃないの?」と思われたでしょうか。それもそうなのですが、マラソントレーニングに入る前段階にも、さらなる土台づくりは絶対にあった方が良いのです。これはウェルビーイングオンラインスクールをご受講いただいている方ならお分かりだと思いますが、期分け上は「導入期」という言い方をしたりします。つまり、マラソントレーニングに入るための「導入期間」というわけです。飛行機は急に飛び立つことはできません。飛行する為には十分な滑走路で助走が必要です。それと同じで、マラソントレーニングも思い立ったからといって明日から急にできるものではなく、そのための「助走期間」というものが必要なのです。
「いや、自分はそんなことしなくても、いきなりでもマラソントレーニングできますよ」という方もいらっしゃると思います。ですが、これは二つの意味で注意が必要です。まず一つは、トレーニングがこなせたとしても、必ずしもそのトレーニングの刺激に体が適応できているとは限らないということです。トレーニングで強くなるには、体に負荷をかけた後、その刺激に「適応」する必要があります。これは食べ物の消化吸収のようなものです。いくら栄養価の高い食べ物をたくさん食べたとしても、それを体が消化吸収できなければそれが体の血肉に変わることはありません。
トレーニングもこれと同様で、いくら良い刺激を体にかけられたからと言ってもそれが体の血肉に変わるとは限らないのです。トレーニング刺激に対して十分に体を適応させる為には、いくつかの要素があります。まず一つが「休養」です。これは想像に難くないと思います。単純な理屈で、体に負荷をかけたら、その後休養を取ることで元よりも強くなって体が復活してくる、これを繰り返すことによってレベルアップしていくということです。例えば1000m×5本というメニューをやった時に、1ヶ月前は4分で400mつなぎで精一杯だったのが、今月実施したら3分50秒で400mつなぎでできた、こんな場合においてはちゃんと前回のトレーニング刺激に体が適応できたと捉えることができます。
そして、次に重要なのは体のキャパシティです。たとえ休養をちゃんと取ったとしても、そもそも体のキャパが低く、かけたトレーニングの負荷がキャパを大きく超えてしまった場合、体はトレーニング刺激を受け止めきれないことでしょう。それが実際に起こってしまっている状態が、いわゆる「頑張っているのに走力が伸びない」という状態です。むしろトレーニングに対して体が不適応を起こしてしまい、走力が低下すること(オーバートレーニング)のリスクもあります。
そのような状態にならない為には、やはり体のキャパを大きくすることが非常に重要です。体のキャパを大きくする為には、まず鉄則としてはトレーニングレベルを段階的に引き上げていくということが重要です。この段階的にというのは、熱湯に入る時のようなものです。お湯に浸かる時、ぐつぐつ煮え立ったあっつあつのお湯だと、あまりの熱さに反射的にお湯を飛び出すことになるでしょう。しかし、とりあえずぬるま湯に入っておいてそこから徐々に徐々に熱して温度を上げていけば、知らぬまにある程度の熱湯に浸かれているものです。
↑男塾名物・油風呂のシーン
つまりトレーニングに対して体を適応させるというのも、徐々に徐々に質・量ともにレベルを引き上げていく必要があります。これはメゾサイクルごとにレベルを引き上げていくことがおすすめです。メゾサイクルというのは、トレーニングを構成する最小単位のことで、多くの方は1週間とか、1ヶ月をメゾサイクルとして考えているでしょう。例えば1週間をメゾサイクルにするなら、1週間ごとに徐々にトレーニングレベルを上げていくという感じです。具体的なイメージとしては、以下のような感じです。
(トレーニングレベルを上げる前の週)
月:30分ジョグ
火:8km低強度
水:12km中強度
木:休み
金:8km低強度
土:20km走
日:8km低強度
(↑の翌週)
月:30分ジョグ
火:9km低強度
水:13km中強度
木:休み
金:8km低強度
土:23km走
日:8km低強度
そして、この次の週はまた少しずつ走る距離を延ばすか、もしくは金曜日の8km低強度を8km中強度にしたりして、走るペースを上げることも考えていきます。このようにして、徐々に、境目がわからないように、グラデーションのようなイメージでトレーニングレベルを引き上げていくことが、体にトレーニング刺激を十分に適応させながら走力を向上させていく一つのコツとなります。
また、体のキャパを大きくするためのポイントはまだあります。それは、いろんなペース帯の練習を入れるということです。
例えば、1km5分ペースの練習を週6回行っているのと、1km5分ペースは3回、4分30秒ペースが1回、4分ペースが一回、3分45秒ペースが一回、みたいな感じで色々なペース帯の練習が入っているのとでは、圧倒的に後者の方がトレーニングに対する適応能力は向上します。
理由はいくつかありますが、一番大きな理由は色々なペース帯で走った方が体に対する負担のかかり方が変わるということです。ペースが変わるということは、体の動かし方が変わるということであり、それはつまり使う筋肉が変わるということを意味します。やっぱり体というものは同じ箇所ばかりに負担をかけ続けるよりも、満遍なく色々なところに負荷をかけた方がよりその刺激に対して適応しやすくなるものです。
そして、そのように色々なペース帯のトレーニングを入れていくというやり方は、ある戦略を取ることで意外に簡単に取り入れることができます。それは、次に解説するポイントにつながっていきます。
絶対に避けては通れないことその2:ハーフマラソン以下の走力向上
フルマラソンでタイムを出そうと思ったら、やはりハーフマラソン以下の種目での記録向上、もしくは走力向上というのは避けては通れません。私の中では、その中でも主に二つの要素があると思っていて、まず一つは5000m(もしくは10000m)の走力向上、そしてもう一つがハーフマラソンの走力向上です。
まず5000mもしくは10000mの走力向上に関しては、これは「基礎スピード」という力をつけるという観点で非常に重要になります。要するに、5,000mの走力がどこにあるのかによって、フルマラソンで目指せるタイムの上限が決まるということです。
5,000mとフルマラソンには、ある程度の指標になる考え方があります。それは5,000mのベストタイムから+1分半〜2分のペースでフルマラソンを走れるというものです。例えば弊社代表の池上は5,000mが14分20秒で、フルマラソンは2時間13分41秒です。これは5,000mは15分50秒ペースですので、5,000mのベストタイムからちょうど+1分半のペースでマラソンを走り切っているということになります。
ですので、例えばサブ3を目指す方なら、1kmは4分15秒ペース、5kmは21分15秒ペースになりますので、少なくとも5,000mを19分45秒では走れていないとサブ3を目指すことが難しいのです。少し余裕を持って、19分30秒では走れていたいです。
ただ、この+1分30秒というのはマラソントレーニングがしっかりとうまく行った場合での数字です。実際に多くの市民ランナーの場合は、2分落ちでも良い方であり、2分半、もしくは3分以上落ちてしまうという方も珍しくありません。
そして、そういう方は意外と「5,000mのタイムをさらに伸ばそう」とされる傾向にあるのですが、実はそれは効率が良いアプローチとは言えません。なぜなら、基礎スピードとしてはすでに足りているのだから、どちらかというと「スピード持久力」を養っていく必要があるからです。
このスピード持久力という力に関しては意外と見落とされがちなポイントです。5,000mが速くなったら、自動的にフルマラソンでもタイムが上がるという認識がついつい持たれがちなのですが、実は5,000mが速くなるだけではまだ不十分です。もちろん、ファーストステップとして5,000mの走力向上は絶対です。これは必ずやるべきことであり、避けては通れないことです。ただ、その上でもう一つ、培った基礎スピードをより長距離仕様に落とし込む必要があるのです。
その指標となるのがハーフマラソンの走力だと私は考えております。ハーフマラソンは市民ランナーの方にとっても馴染みのある種目だとは思いますが、同時にハーフマラソンが行われる時期というのは大抵の場合、フルマラソンのシーズンとダダ被りしますので、ハーフマラソンを本命に持ってくる方は多くはないと思います。
だからこそ、ハーフマラソンという種目に本腰入れて取り組む方はそんなに多くないのではないかとは思っています。それでもいいと思います。ですが、フルマラソンのために、ハーフマラソンをしっかりと走れるようになっておくということ自体は避けては通れないとも考えています。
なぜなら、ハーフマラソンが走れるようになったら、フルマラソンにとっても大きな恩恵があるからです。まず第一に、ハーフの走力が上がるとフルマラソンで目指すペースに対しての余裕度が明らかに向上します。これは、5,000mで培った基礎スピードが、よりマラソン仕様に落とし込まれるということの表れでしょう。単品では使いづらかったものが、持久力と組み合わさって大きな力を発揮するのです。
次に、ハーフマラソンが速くなるということは、つまり速いペースで押し続ける力がつくということです。ハーフマラソンって、結構ペースが速い割に距離も長いという絶妙な種目ですよね。私もいつもそうですが、正直10kmすぎくらいからまあまあ呼吸もしんどいです。ですが、ハーフで記録を出そうと思えば、ある程度きつい状態の中でもうまく回復させたり、ペースを落とさずに走りも崩さないようにするための走技術が求められます。
こういう力は、フルマラソンで記録を狙う場合においても絶対にあった方がいいです。なぜなら、フルマラソンでも30km以降なんかは結構苦しくなってきますし、そういう時にペースを落とさずに、走りながらうまいこと回復させられるかどうかは、一種の走技術だからです。その技術や力は、私はハーフマラソンから得られるものが非常に大きいのではないかと、これまでの経験からも思います。
なので、まず第一ステップとして5,000mの走力、そして同時にハーフマラソンの走力向上に努めていただくということがとても重要です。むしろ逆に言えば、ハーフマラソンの練習がしっかりできていれば、これはほぼ自動的にフルマラソンの記録も伸びてくるものです。ここはかなり互換性の高い種目ですし、実際、箱根駅伝に出場する大学生なんかは基本的にはハーフマラソンくらいの距離に向けたトレーニングを主軸にしつつ、最後の仕上げでマラソン練習を少し入れて、近年ではマラソンでも日本トップレベルの記録を出す選手も出てきているくらいです。
考えてみれば当然かもしれません。フルマラソンをやっている我々は忘れがちですが、実はハーフマラソンも結構距離が長いものです。つまり、ハーフのトレーニングも、十分に練習量としてはしっかりしたものになるのです。だからこそ、これらの種目は十分に互換性があり、特にこのオフシーズンなんかは5,000m〜ハーフマラソンのトレーニングをしっかり積んでおくということもいい戦略だと言えるでしょう。
ハーフマラソンとフルマラソンの兼ね合いをどう考える?
とはいえ先述したように、ハーフマラソンのレースの大半はフルマラソンと開催時期がダダ被りします。だからこそ、多くの市民ランナーにとっては、ハーフマラソンは一番の大本命にはなり得ないでしょう。ハーフの走力を高めていく必要があるということはわかったけど、でも自分はフルマラソンがメインだから、、と、なんとなくハーフマラソンはサブな位置付けになりがちなのはとてもよくわかります。
私はそれで良いと思っています。むしろ、フルマラソンのレースに向かう過程で「ハーフのレースを使う」くらいの心持ちでやっていくのがうまくいく秘訣じゃないかと思います。実際私はこれまでそれでかなりうまくいきました。2023年3月の琵琶湖マラソンで2時間47分を出した時も、今年の2月の大阪マラソンで2時間32分を出した時も、その1ヶ月前には必ずハーフマラソンのレースを全力で走るということをスケジュールに入れていました。
フルマラソン1ヶ月前ということは、マラソントレーニングで言う「特異期」の総仕上げの時期に当たります。つまり体としてはかなり仕上がりつつある時期に、あえてハーフマラソンをぶつけているのです。そこまでのトレーニング内容としては、もちろんフルをメインに考えつつも、実は私はところどころハーフマラソンを想定したトレーニングも入れていました。なので、ハーフとフルの練習をハイブリッド的にこなしていって、フルの1ヶ月前前後にハーフのレースで自己ベストを出して景気付け、そして本命のフルに対して「確信」を作るということをしていましたが、この戦略はとても気に入っています。
このように、ハーフがフルの邪魔になるということではなくて、フルのための「お膳立て」として使ってしまえば良いのです。トレーニングがうまくいっていれば、その時期のハーフはだいたいいい走りができますので、その後のフルに対してもかなり自信を持つことができますし、波に乗ることができます。
ですので、私からはぜひ次のマラソントレーニングでは「ハーフマラソン」も考慮に入れたトレーニング戦略を作ってみることもお勧めします。もちろんフルマラソンをメインにするなら、それも考慮に入れたトレーニングスケジュールを組む必要がありますので、そこはぜひじっくり考えていただけると良いかと思います。
そして、もしあなたがそのようなハーフマラソンをうまく使う戦略をやってみようかなと思われるのであれば、ぜひ現在受講生様を募集中の新講義動画「ハーフマラソンの為のトレーニング」をお勧めいたします。この講義では、ハーフマラソンが速くなる為のトレーニングについてはもちろん、フルマラソンとの関連性や、フルのトレーニングとどのように関連させていくのか??と言う兼ね合いの部分もわかるように解説されていますので、まさに先述したような戦略を組むにも使っていただけるでしょう。
本講義の講師はかつて10年前の谷川真理ハーフマラソン(現:ハイテクハーフマラソン)で、当時国立大学生で、陸上部に所属しない「帰宅部ランナー」として、当時すでに公務員として世界陸上代表にもなり活躍していた川内優輝選手を破った池上秀志です。彼の大学4年間はハーフマラソンを1km3分で走るということに全て捧げられました。大学での娯楽は一切捨てて全てをかけて得た知見。さらにその後プロになってさらに研ぎ澄まされた知見を、この講義動画にまとめています。
こちらの講義の目次は以下の通りです。
ハーフマラソンってどんな距離?
ハーフマラソンに関するよくある誤解
ハーフマラソンのトレーニングに対する考え方
呼吸面と筋持久力の違い
最終的に核となる練習
具体例
大前提
日本におけるハーフマラソンの実際
フルマラソンとの関連性
特異的に準備することの重要性
ハーフマラソントレーニングにおける矛盾
具体的なハーフマラソンに向けての16週間のトレーニング
初めの4週間
次の4週間(2か月目)
次の4週間(3か月目)
次の4週間(4か月目)
具体的な16週間のトレーニング
1週目
2週目
3週目
4週目
5週目
6週目
7週目
8週目
9週目
10週目
11週目
12週目
13週目
14週目
15週目
16週目
個人の練習に応用する際の注意点
ハーフマラソンにとって理想のレースとは?
最後に
皆さまの成功を祈っております
こちらの講義を受講して頂いてあなたが得られるメリットは以下の通りです。
・ハーフマラソンが速くなる
・長期にわたって着実にハーフマラソンの記録を伸ばし続けられる
・ついでにフルマラソンも速くなる
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よくある質問とそれに対する回答
質問:講義動画を見られる期間はいつまででしょうか?
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質問:講義動画はどのようにして試聴できますか?
回答:ユーチューブに限定公開しておりまして、お申込み下さった方にのみURLをお渡ししております。
質問:倍速再生は出来ますか?
回答:はい、出来ます。
質問:講義はどのようにして届きますか?
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