あなたの本当の潜在能力を発揮する「ピーキング」
この「ピーキング」に関して、実はほとんどのランナーが見落としているメリットがあることをご存知でしょうか?そのメリットとは、「狙ったレースで最高の状態を作る」ということとはまた別の話です。
そして、これを知っているか知らないかで、特に一年後・二年後といった長期で見たときに、恐ろしい差が生まれることをご存知でしょうか?
例えば、マラソン3時間切りを目指したAさん、そしてBさんという二人のランナーがいるとしましょう。二人とも同じレースに出場して、共に3時間10分というタイムだったとします。
Aさんはこのピーキングによる本当のメリットを知っていました。3時間10分をマークしたレースの半年後、今度は3時間5分をマークしました。そして、そのさらに半年後のレースでは、見事サブ3を達成しました。
しかしもう一方のBさんは、それを知りませんでした。同じく出場した半年後のレースでは、3時間08分をマーク。そしてさらに半年後のレースでは、今後は35kmから失速してしまい、3時間12分という結果になりました。一年前、同じレースで同じタイムで走ったAさんは、今やサブ3を達成するも、Bさんは昨年のタイムから伸ばすことができず、苦しんでいました。
もちろん、これは架空の話です。ですが、こういう話は決して珍しくなく、実際にこういったことは無情にも「普通に」起こっています。
そもそもピーキングとは何か?
では、半年ごとにタイムを着実に伸ばしていったAさんが知っていた、ピーキングの本当のメリットとは何だったのでしょうか?
それをお話しする前に、そもそもピーキングとは何かということについて簡単に説明しましょう。
ピーキングとはつまり「狙ったレースで最高の結果を出す一連の作業」のことを意味します。英語で「peak」と言うと「頂点」を意味しますが、それを動名詞化した言葉が「peaking」です。要するに、長距離走やマラソンの世界においては、自分の最高のパフォーマンスが出せる状態を作る作業のことをピーキングと言います。
あなたが長距離走やマラソンで、自身の持つ最高のパフォーマンスを出そうと思ったら、ピーキングは絶対に取り入れた方が良い考え方になります。なぜなら、長距離走、とりわけフルマラソンでは、短期間に何度も高いパフォーマンスを出すことが非常に難しい、というか基本的には不可能だからです。
その理由は、長距離走やマラソンが他のスポーツに比べて、体へのダメージが非常に大きい上に、体の状態でパフォーマンスが完全に左右されるという特性を持っているからです。具体的には、免疫系や消化器系などに大きな負担がかかるのですが、内臓や免疫状態そのものによって調子が完全に左右されるということです。
わかりやすい例で言えば、風邪です。まあ、どのスポーツでも風邪を引いていたらパフォーマンスは多少なりとも下がりますが、長距離走やマラソンではその影響はとりわけ格別です。全くもって、別人のように走れなくなることが普通です。私自身、高校時代は5000mで14分台で走っていましたが、風邪を引いて微熱がある状態で10kmレースを走ったら、35分もかかったことがあります(3’30”/kmペース)。5000mの14分台ランナーなら、普通に練習で余裕を持って走れるくらいのペースですが、それがレースペースになってしまうのです。
加えてマラソンはシーズン制ではなく、一発勝負のスポーツです。SNSのプロフィールで書けるPBの記録は、それを何回出したか?ということは大きな問題ではないでしょう。一発でいいのです。レースのその日、一発走って最高のタイムを出せば、それがあなたのPBとなり、実力とみなされます。
だからこそ、長距離ランナーはピーキングをして、狙ったレースの日に最高の状態を作ることが求められるのです。
ピーキングによる表向きのメリット
ピーキングがうまくいくこと最高の旨みは、自分の実力以上の力を出せることにあります。練習ではとても走れないようなタイムで走れたり、場合によっては格上の選手を倒して大金星を得ることも珍しくありません。
ピーキングによる劇的な成果の事例はいくつもありますが、直近の代表的な例を挙げるとすれば、間違いなく今年の1月の箱根駅伝で起こった、太田蒼生選手の例でしょう。
今年の箱根駅伝の3区の区間賞の最有力候補は、誰がどうみても駒沢大学の佐藤圭汰選手(当時2年)でした。佐藤選手は洛南高校時代には1500m、3000m、5000mの3種目で高校日本記録を更新し、鳴り物入りで駒沢大学に入学し、その後もすくすくと日本を代表するトップランナーへと成長していました。佐藤選手の箱根駅伝当時の10000mのベストタイムは、27分28秒という圧倒的なタイムで、もはや敵なしと見られていました。
一方、ライバル校である青山学院大学は、3区に太田選手(当時3年)が登場しました。太田選手の当時の10000mの自己ベストタイムは、28分20秒でした。1000mのタイムの時点で、すでに二人は50秒近くの差があったわけです。しかし、いざ蓋を開けてみたら、太田選手が59分47秒の区間新記録で区間賞を獲得し、佐藤選手を逆転しました。
こうして見てみると、それは佐藤選手が調子が悪かったのでは?という見方もできるでしょう。しかし、そんなことはありません。佐藤選手も1時間00分13秒という区間新記録の区間2位だったのです。なんなら、二人ともハーフマラソンは日本新記録ペースで通過しています。
つまり、佐藤選手も相当素晴らしいパフォーマンスが出ていたのです。にもかかわらず、太田選手は格上の佐藤選手を下して勝ったのです。
なぜそんなことができたのか?これは紛れもなく「ピーキング」の効果でしょう。佐藤選手は、箱根駅伝にももちろん合わせて調整したでしょうが、それ以外にも重要なレースがあったようです。その後もアメリカに渡って、室内陸上での5000mで日本新記録となる13分09秒をマークしたりと、少なくとも箱根駅伝が最高潮というわけではなさそうでした。
一方、太田選手はその後メディアでも「1年間箱根に向けて準備してきた」と明言しています。つまり、一年かけて箱根駅伝に向けたピーキングを行ってきたというわけです。その結果として、ピーキングをした本命レースである箱根駅伝では、実力では勝る相手である佐藤選手に見事大勝利を収め、ファンを大きくざわつかせたのです。
ピーキングの知られざるもう一つのメリット
一般には、ピーキングのメリットとはこの太田選手の例のように、「最高のパフォーマンスを出す」ことだと思われています。そして、それは間違いではありません。実際、それがピーキングの主たるメリットであり、私自身もその恩恵を受けたくてピーキングを何回も何回も行っているのです。
しかしながら、実は本当のメリットはもう一つ存在するのです。それは、、
一つのピーキングを経るごとに、自分のスタートラインが前に進むこと
どういうことか、説明しましょう。
ピーキングとはつまり、土台作りからレースに向けた仕上げまでの、一連の作業全体のことです。以下の画像をご覧ください。
要するに、例えばフルマラソンなら基礎構築期を1〜2ヶ月ほど設けて、その後移行期間を挟み、特異的トレーニングを行う時期を4週間前後とって、最後の4週間前後は疲労抜きと適応のための調整期にします。
そう、一つのレースに向けてピーキングをしようと思ったら、少なくとも3ヶ月、長ければ半年程度に及ぶことがあるのです。
そして、その間一つのレースに向けて、ベースの走力を上げるための土台作りをみっちりやる期間があって、基礎を作った上で、レースに近い特異的な練習に移行していくという流れを、たっぷり時間をかけて行うことになります。
これがポイントなのです。このように、時期によって練習内容を変えることで、体が練習に対して適応しやすくもなり、走力の向上に繋がりやすいです。逆にピーキングをしないで練習していると、年がら年中特に練習の特色が変わらず、ずっと同じような刺激を体にかけ続けることになります。
人間の体は、定期的に異なる刺激を入れてあげないと、どこかで飽和状態を起こします。トレーニングに対して、体が適応しなくなるのです。そうすると、やってもやってもトレーニング効果があまり得られない、という状況にも繋がっていきやすくなります。
ですがピーキングを行うと、もうほぼ自然に時期によって練習内容が綺麗に変わってきます。その結果として、半年とか一年という時間の中で、着実に様々な種類の刺激を体にかけることができ、適応していくことができます。そうすると、本命のレースで結果が出ようが出まいが、そこに向けて積み上げてきたものは体に残るわけです。つまり、仮に本命レースで結果が出なくても、積み上げたものが残るので、次に向けたスタートラインがより高い位置になるわけです。
また、ピーキングしたのにレースで結果が出なかったとしても、もしかしたら練習に対する適応が追いつかなかっただけかもしれないし、その効果がレースの後から出てくることだって全然あるわけです。例えば、11月の神戸マラソンに向けて積み上げたものが、11月時点では効果が出なかったけれど、2月や3月くらいに遅れて効果が現れる、みたいな感じです。
これが、このメリットを知っているか否かでその後の結果が変わる理由でもあります。このメリットを知っていれば、仮にレースで結果が出なかったからといって、悲観する必要がないのです。むしろ、良い練習ができていたという振り返りができるので、流れを踏襲して、またその続きから積み上げをスタートすることができ、着実にできることのレベルを上げていけます。
でも、これをもし知らなければ、レースで結果が出なければ「今回のピーキングの流れが無駄になった」と考えてしまったり、そもそもの練習自体が間違っていたと捉えてしまって、また新しいやり方に手をつけたり、闇雲にトレーニングの負荷を上げようとしたりして、結局適応できずに半年後、一年後もあまり伸びないことがあります。
ピーキングとは、本命のレースで最高の結果を出すためのものです。ですが、それを繰り返すことで、着実な積み上げを体に残すという「副産物」も得られるのです。そういった着実なピーキングレベルの向上の繰り返しをしているかいないかで、本当の一年後、二年後に冗談にならないレベルで差が開くことが普通にあるのです。
ピーキングとはどうやってやったら良いのか?
基本的には、先述のピラミッドの図を意識して、レースから逆算し、基礎構築期の土台作りから、レースが近づくにつれて徐々に特異的な練習を増やしていき、最終的にはレースに向けて仕上げていくというやり方を行います。
ピラミッドの底辺は、片端はスピード面、もう片端は持久面です。レースから遠い時期は、とにかくスピード面と持久面の両面において、レース刺激から遠いことをしっかり密度高く積み上げていくのが重要です。
そして、レースが近づいてきたら、徐々にスピード練習と持久練習の差がなくなってきます。平たく言えば、重要な練習がスピード練習なのか持久練習なのかがわからなくなってくるのが望ましいのです。
そして最後は疲労抜き。いわゆる調整です。調整とピーキングをごちゃ混ぜに考える人が少なくないのですが、調整というのはあくまでもピーキングの中の一工程です。
この流れを何度も何度も繰り返していくことで、1つのマラソンが終わるごとに地力がより高いレベルに到達し、次は上がったレベルのところからスタートできるのです。そして、その次も、そのまた次も・・・
そもそもピーキングということを知らない人は、その繰り返しがないので、毎回行き当たりばったりになるから効率が上がらないですし、積み上げていくものがないのです。だから、やっている人とやっていない人で、年数が経てば経つほどびっくりするような差になる、というわけです。
そして、もしこのピーキングを本気でやってみたい、もっとピーキングについて詳しく知りたいと思われるなら、ぜひ読んでいただきたい電子書籍があります。それが、「ピーキングの極意」です。
ピーキングの極意とは、タイトル通り今回紹介したピーキングの基本的な考え方から、その具体的なやり方まで体系的に解説した電子書籍です。
筆者は大阪マラソン日本人トップの実績を持ち、ウェルビーイング株式会社代表取締役として、年間1000人以上のランナーさんのお悩み解決をするプロコーチである池上秀志です。
本書の目次は以下のとおりです
目次
古典的ピーキング
何故期分けをするのか?
期分けをした方が良い理由の一つ目
期分けをした方が良い理由の二つ目
期分けが必要となる根拠:トレーニング刺激の適応
期分けとピーキングが必要な最後の根拠
市民ランナーにとってのピーキング
リディア―ドシステムの問題点
レナト・カノーヴァのマラソントレーニングにおける期分けの仕方
コーチカノーヴァのトレーニングの問題点
池上式ピーキング
全てはあなた次第
で、結局何週間必要?
もう一つの概念
シーズンや年をまたいだピーキング
反ピーキング論
あとがき
あなたが本書を読むことで、得られるメリットは以下の通りです。
・狙ったレースで最高の結果を出せる
・実力の100%、場合によっては実力以上の結果を出せるようになる
・1つの本命レースが終わるごとに、高い走力レベルが手に入る
そんな内容が詰まったこちらの電子書籍は1冊1500円(税込)です。
ご購入方法は下記より商品ページに進んでいただき、カートに追加した後、ご希望のご決済方法にてご購入ください。クレジットカード、PayPal、銀行振込からお選びいただけます。
また、こちらは本ではなく、電子書籍です。クレジットカード、PayPalでのご注文の場合は、決済と同時にデータがメールで届きます。銀行振込の方の場合は、ご入金を確認次第、メールにて書籍データが届きます
このピーキングというのは、プロや実業団選手なら当たり前にやっていることです。ですが、市民ランナーの世界では、実はほとんどの方がやっていません。むしろ知らないという方が大半でしょう。
だからこそやれば必ず周りとの差がつきます。練習では自分よりも強い人にも、本当に勝ちたい本命のレースでは勝てる、なんてことが起こります(青学の太田選手のように)。
そんな可能性を持った電子書籍「ピーキングの極意」は、一冊たった1500円です。この機会に必ず手に入れて、狙ったレースで最高の結果を出すとともに、シーズンを重ねるごとに周りとの差をどんどん広げていってください!
ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也
〇筆者紹介〇
ウェルビーイング株式会社代表
池上秀志(いけがみひでゆき)
経歴
中学 京都府亀岡市立亀岡中学校
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高校 洛南高校
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大学 京都教育大学
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大学卒業後
実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。
~自己ベスト~
3,000m 8:26.125,000m 14:20.2010,000m 29:26.5030km 1:31:53ハーフマラソン 1:03:09マラソン 2:13:41
主な実績
・都道府県対抗男子駅伝 区間賞・関西インカレ 二冠・京都選手権 優勝・近畿選手権 優勝・谷川真理ハーフマラソン 優勝・ハイテクハーフマラソン 優勝・上尾ハーフマラソン 優勝・グアムハーフマラソン 優勝・全日本琵琶湖クロカン 2位・ケアンズマラソン 優勝・大阪マラソン2017 2位(日本人トップ)
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