トレーニングは細かく段階を踏まないといけないということの本当の理由
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)
- 3 日前
- 読了時間: 11分
突然ですがあなたは、長距離走やマラソンにおいて、ある目標に向けてトレーニングをしている中で、一気にレベルを上げて失敗したという経験はありませんか?
例えば、今のマラソン自己ベストが3時間20分だとしましょう。
今シーズンは3時間10分切りを目標に、トレーニングの計画を立てる。実際にトレーニングを進めていくうちに、3時間10分は切れそうな感覚になってきた。そうしているうちに・・あれ?もしかしたら3時間5分くらいまでいけるんじゃないか?今シーズンの目標はあくまで3時間10分。だけど、本当はその先のサブ3を目指している。
今年もし、サブ3に近づけるのであれば、できれば一気に行ってしまいたいのも本音。そんな欲も出てきて、つい知らず知らずのうちにトレーニングの強度を上げて行ってしまい、気づいたらサブ3ペースを意識した練習設定になっていた。
そして、そのままトレーニングを続けること数ヶ月・・・初めは問題なくこなせていて、これはもしかしたら今年サブ3も行けてしまうのでは?と思っていたものの、レースが近づいてきたら・・あれ?先月までのあの調子の良さは、どこいった?
結局迎えた本命のレースでは、直前の調整期で調子がすっかり落ちてしまい、元々の目標の3時間10分を超える、3時間15分でゴール。一応、自己ベストは自己ベストだけど、こんなにも嬉しく無いなんて・・
あなたはこんな経験、ありませんか?
これ、実際に市民ランナーの世界では本当にあるあるなんです。
かくいう私もこれを経験しました。今から2年前びわ湖マラソンでは、当初2時間50分切りを目指してトレーニングを開始したものの、やっているうちに2時間40分くらい狙えるような気がしてきて、どんどんトレーニングレベルを上げて行ったのですが、結局直前で一気に調子が落ちてしまい、本番は2時間47分。ベストは大幅更新できたのに、悔しい気持ちしか残らない、あの感覚は今でも鮮明に覚えています。
なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか?
その原因は、トレーニングレベルを上げる段階の踏み方が足りないことにあります
段階の踏み方が浅いと、知らず知らずのうちに疲労を蓄積してしまったり、また、トレーニングの刺激に対して十分に適応できません。そもそも、トレーニングというのは体にかける刺激であり、負荷であります。
体は何らかの刺激や負荷を受けると、必ず何らかの「反応」を示します。その反応の中でも、良い方向のものが「適応」というものです。
要するに、その刺激や負荷に対して適応したということで、それまでにかけていた刺激や負荷では、次は疲れないようになったり、より楽にこなせるようになるということです。これを何度も何度も何度も何度も引き起こしていくことで、私たち人間の体はできることの幅がより増えていくのです。
これはトレーニングに関してはもちろん、日常生活全般において言えることです。仕事においても言えることです。
赤ちゃんの時は何も喋れなかったのに、2つか3つになる頃には日本語を理解して、話せるようになるのは、毎日家庭やテレビなどの影響で「日本語」という刺激を体にかけ続け、それに適応していったからです。
また、新入社員時代はただ会社にいるだけで身も心も疲弊していたのに、いつしか長時間労働が普通にできるようになったり、膨大な仕事量をこなせるようになるのは、日々業務という刺激をかけ続けて適応したからです。
トレーニングもこれと全く同じで、ある刺激をかけてそれに対して適応させていくことを、どれだけ繰り返すかなのです。ですが、これは段階的でなければいけません。それも、できるだけ時間をかけて、より細かく段階を踏まなければなりません。その理由は以下のとおりです。
1:一度に受け入れられる刺激の強さや量には、限界がある
私たちの体は、一回あたりに受け入れられる刺激の強さや量には限界があります。
典型的な例で言えば、普段10km前後しか走らない人が、マラソンが近づいてきたからといっていきなり30km走をマラソンレースペースでやるみたいなパターンがあります。これは、非常に非効率的なやり方だと言えます。なぜなら、普段は10km前後しか走っていないので、体は10km前後のランニングへの刺激には慣れていますが、30kmという長い距離に対する刺激には全く慣れていないからです。
トレーニングの基本原理の一つに、リスク急増の法則というものがあります。これは、ある地点を境に、故障や疲労の溜め込みなどのリスクが指数関数的に急増するという法則です。普段から10km程度しか走らない人は、リスクが急増するポイントがおそらく15km前後にある可能性が高いです。すると、20kmとか超えてくると一気にリスクが跳ね上がり、30kmなんて距離になればもう、ダメージがものすごく残ってしまうわけです。
しかしながら、普段全然長い距離を走らないから、30km(しかもレースペース)という刺激に対しての適応度合いも低いのです。これはつまり、ダメージばかり残ってしまって、練習効果はたいして大きくないという状態です。
でも、厄介なのが実際やってみるとできてしまうことがあるということです。一杯一杯になってでもできてしまうから、もう「イケる」という気になってしまうのです。ですが、こなせるということと、その刺激に適応できるということは全くの別物。やれたとしても、効果を得られているかどうかはわからないのです。だからこそ、基本的に練習は少しの余裕を常に持っておくことが大事なのです。余裕がないと、回復するので精一杯で(なんなら回復も追いつかない)、適応するところまでは到達できないからです。
でも、ちゃんと段階を細かく踏んでいれば、確実に適応できるようになるのです。例えば、マラソンが近づいてきていきなり30kmレースペース、とかではなくて、マラソンから遠い時期でも中強度くらいでの20~25kmを週に一回は入れておいたりとか、またいきなりレースペースでやるのではなくて、もう少し余裕のあるペースから始めてみるとか、そのようにして徐々に刺激を強めていけば良いのです。
なお、これはトレーニング以外においても全く同じことが言えます。例えば、日焼けなんかもそうです。綺麗に焼きたいと思って、1日だけビーチに行って思い切り日にあたってみても、焼ける度合いには限界値があります。ある程度まで焼けたら、赤くなってしまってそこまで黒くならないのです。ですが、毎日毎日ちょっとずつでも日に晒していれば、1ヶ月もすればこんがり綺麗な小麦色になっているものです。
2:刺激の相似性が働くから
さらに、段階を細かく踏むべきもう一つの理由が、刺激の相似性というところにあります。
刺激の相似性というのは、体は似た刺激に対しては適応していくという性質のことです。
具体例を挙げて説明するならば、例えば1km4分ペースで10km走るという練習があった時に、この練習に適応できたことによって、1km4分のペースが楽になることはもちろんですが、その前後の3分50秒も楽になるし、3分40秒も楽になるし、もっと言えば1km3分も多少は楽になるということです。
体は基本的には特異性の原理に基づいて、ある刺激をかけたらその刺激に対して特異的に適応していきます。ですが、特異的とはいっても、本当に限定的にそのペースだけに適応するわけではありません。その前後のペース帯にも付随的に適応しますし、その結果その前後のペース帯のランニングエコノミーも改善して、より速いペースも楽になるのです。
特に、レースがある程度近づいてきたら、トレーニングを徐々にレース刺激に近い内容に移行させていくことが大事だというお話はこれまでも何度もしていますが、それはこの刺激の相似性というところが根拠になっています。
例えば200m×20から始めたものを、300m×20にして、400m×15にして、600m×12にして、800m×10にして、1000m×10にして、、みたいな移行の仕方というのは、刺激の相似性を利用して、微妙にトレーニング刺激をずらして行くという考え方なのです。
そして、こうした移行の仕方をして行くためには、どうしてもそれなりの時間が必要にはなってくるわけです。ですが、冒頭の例のように、段階をすっ飛ばしていきなり自分のレベルよりも大幅に高いトレーニングをやろうとすると、そうした刺激の相似性も全く使えなくなるわけで、そうすると当然一つ目の理由のようにダメージばかりが残ってしまい、キツさの割にはあまり効果を得られないという状態になってしまうのです。
それでは実際どうしたら良いのか?
では、実際どのようにトレーニングレベルの段階を踏んでいったら良いのでしょうか?
どれくらい細かく段階を踏むべきなのでしょうか?
それは、私が皆さんに「これくらいですよ」と数値的なものを言うことはできません。なぜなら、私たちの体は一人一人全く違うからです。
どれくらいのペースで低強度で、どれくらいのペースが中強度で、とか、どれくらいの練習量なら疲労を過剰に蓄積せずに練習が継続できて、とか、そういったものは人によって全く違うのです。だから、この段階の踏み方については、自分自身で研究していくしかありません。
ですが、時間をかけてでもやる価値のあることだとは思います。なぜなら、これは自分の体の限界値を正しく把握することであり、それに基づいてトレーニングを考えるというのは、長期的に見れば正しい積み上げを繰り返していくことに繋がり、結果的に年数を重ねるごとにどんどん走力が上がっていくことにつながるからです。
そして、その研究をするために必要な知識を解説した講義動画を、この度作成いたしました。それが「人体の原理から導き出されるトレーニングの原則」です
こちらの講義では、トレーニングにおける原理原則を人体の原理に関連づけて、さらに最終的にトレーニングにどう応用していくのか?というところまで体系的に解説しています。
長距離走やマラソンというスポーツは、そもそも人体の限界を競う性質が非常に強いスポーツです。
確かに生まれつき遺伝的に優れた人はいますが、それでも同じ人間である以上は遺伝的にはほぼ同じです。それが2時間なのか2時間半なのか、3時間なのか3時間半なのか、4時間なのかというそれだけの違いです。どんなに頑張ったって、ダチョウのようにマラソンを40分で走れるということは、遺伝子的に絶対にあり得ません。
つまり、いかに自分の遺伝子の情報を多く発現させられるかの戦いなんです。もっと平たくいえば、いかに自分の体をうまく扱えるかの戦いが、長距離走やマラソンなんです。
実際、長期的に走力を伸ばし続けている一流選手や市民ランナーの方には、共通する“絶対的な原理原則”があります。それは「人体の仕組み=自然法則」に逆らわないことです。
トレーニングには「変えられること」と「変えられないこと」の二つがあります。
変えられないことというのは、人体の限界に関するものや原理に関するものです。
これを無視したトレーニングだと、どれだけ良い設定でこなせても、たくさんの練習をこなせても、成果が遠のきます。なぜなら、体の限界を超えていて、適応できないからです。
適応できないとはつまり、せっかくやったトレーニングの効果を十分に得られない(=無駄になる)ということです。
例えば重力の存在を疑う人がいないように、人体にも万人に共通する反応・適応・回復などの仕組みが確かに存在します。これは人間である以上、ひっくり返すことができない絶対的な仕組みです。
トップランナーや、長期的に成長し続ける市民ランナーの方は、この絶対的な法則に逆らうことをしません。
では、人体の仕組みから導かれる“変えられないルール”とは?一例を挙げるならば・・
人体は与えた刺激に対して、必ず一定の反応を示します。
体力や能力は、適切な負荷・刺激を与え続けることでのみ向上します(過負荷の原理)。
得たい能力に合った刺激を与えなければ、その能力は伸びません(特異性の原理)。
これらは「過負荷」「特異性」など、科学的にも証明された普遍的な原理です。
どんなトレーニングも、まずはこの“自然法則”を守ることが大前提。これを無視してトレーニングを続けるのは、ザルで水を掬うようなものです。
さらに、精神面にも“見えない法則”が働いています。
無意識のうちに環境や思考パターンに影響され、努力が空回りすることも。心の仕組みや社会的な力学を理解することで、より安定して目標に向かって進めるようになります。
今回の講義動画では、人体の反応・適応・超回復・恒常性維持など、根拠に基づく“本質”を徹底解説した上で、そのような絶対的な原理をどのようにトレーニングに結びつけて応用させるのか?というところまで体系的に解説します。
さらに心が体に作用するという、精神的な力学まで学べます。
あなたがこちらの講義を受講することで
練習方針に迷いがなくなり、長期的に走力を伸ばせる
情報に振り回されず、正しい判断ができる
長距離走・マラソン以外の分野や人生全般にも応用できる
子どもの教育や自己実現にも役立つ
このようなメリットがあることでしょう。
実際にこの原理原則を学んだ受講生の方は、800mからフルマラソンまで、10代から70代まで、レベルを問わず次々と自己ベストを更新されています。サブ3やサブエガといった一般的には困難とされる高い基準も次々に現実にしています。
これだけのメリットが詰まった約5時間の講義はたった11,000円。今回も全額返金保証付きです。万が一満足できなければ、理由を問わず返金いたします。
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ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也
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