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執筆者の写真秀志 池上

奈良県高校駅伝5年連続2位、奈良育英高校を率いる尼崎達也先生との対談

突然ですが、あなたは「今まで専門的な指導を受けたことがない」というコンプレックスを抱えていませんか?  コンプレックスというのは劣等感と訳されることが多いのですが、劣等感というよりは複雑な感情、入り組んだ感情というのが正しい訳です。  幼いころや中学生、高校生、だいたい20歳くらいまでに満たされていなかったものはその後も強く潜在意識に残り強く複雑な感情を持たせ続けると言います。  例えば、親から愛されなかった人はその後の人生でも無償の愛を求め続けるし、幼少期に貧乏した人は大人になってからも車やブランド品、その他大人のおもちゃ(エアーガン、プラモデルなど)などを求め続けるし、中高生時代に異性からモテなかった人はその後も異性をより強く求めると言われます。  単純に満たされなかったから頑張ろうで、プロ野球選手として活躍したり、芸能人として活躍したり、起業してお金持ちを目指したりするのであれば、それ自体は健全なのかもしれませんが、コンプレックスと呼ばれる所以はどこかで屈折してしまうからです。  無償の愛を求めながらもそれを得られなかった人は、人を信じられなくなったり、逆に他人を支配しようとしたり、強く束縛しようとしたり、高級車を乗り回すのは全然良いことなのですが、どこかで過去の貧しかった自分を否定し、同時にお金持ちではない人を見下してしまったり、女性にモテようと思って仕事を頑張ってお金持ちになったにもかかわらずモテなくて、狂ったように働き続け、利益だけを追求するようになったり、どこかで感情が屈折していくことが多く、厄介なことにそれらが全て潜在意識下で行われ、本人も自覚することが無いのでコンプレックスと名付けられました。 「自分は中高、大学時代に専門的な指導を受けられなかった」  これもある意味では一つのコンプレックスになるのかもしれません。  私はアマチュアの強豪校でやらせてもらったこともあるし、市民ランナーも経験したし、市民ランナーとしては国立大学帰宅部生と普通の起業家ランナー(普通に仕事しながら走る)ということの両方を経験させてもらいましたし、プロも経験させてもらいましたし、指導者としても中学生から社会人からケニア人プロ選手まで、色々な人を見させて頂きました。  もちろん、指導はしていないけれど、間近で観察させてもらったり、話を聞かせて頂いた方はもっともっとたくさんいます。  そういった経験から、別にプロもアマも市民ランナーも強豪校も大きくは変わらないという印象です。もちろん、意気込みとか練習内容とかは違いますけど、それ言いだしたら、同じ市民ランナーの人でも意気込みとか目標とか練習内容は人それぞれですし、プロの選手もそうです。  人それぞれなのは当たり前ですが、結局陸上競技というルールの中で目標を持って現状から目標へと近づいていこうと思ったら、基本的な考え方の部分は同じです。同じなんですけど、それをいくら伝えても「我々は市民ランナーだから」と相手の心に響かないことも多々あります。  その深層心理の奥底には、「お前たちエリートには分からないだろう」という心があるのかもしれません。  この「お前たちエリートには分からないだろう」というのは「親から愛されなかった俺の気持ちが幸せな少年時代、少女時代を過ごしたお前たちには分からないだろう」という感覚に近いのかもしれません。  ですが、こういった考え方は百害あって一利なしです。過去のことは変えられませんし、過去をどうとらえているかは本人自身の問題です。上を見てもキリがないし、下を見てもキリがないので、結局自分よりも幸せな幼少期を過ごした人もいれば、自分よりも不幸な幼少期を過ごした人もいる、自分よりもお金持ちの家に生まれた人もいれば、自分よりも貧乏な家に生まれた人もいる、同様に、自分よりもエリート出来た人もいれば、最近走り始めた人もいる、言い出せばキリがありませんが、結局程度の差こそあれ、基本的に同じ人間です。  通常はそういった屈折した感情は自分でも気づきません。潜在意識の中に入っているからです。ただ、「自分は市民ランナーだから」「市民ランナーにそれは無理」と常日頃から情報に対してシャットアウトしてしまう人はちょっと考えたほうが良いです。  もちろん、いきなり実業団選手と同じ練習をしろと言ったら、それは無理です。それは参考になりません。それはその人が実業団選手だからではありません。これまでのトレーニング歴、走歴、走力が全く異なるからです。同様に、同じ市民ランナーでもトレーニング歴、走歴、走力が異なれば同じトレーニングをやっても結果には繋がりません。  それでも速くなるために何をしたら良いのか、どういうアプローチをすれば良いのか、どのように取り組んでいけば良いのかという考え方の部分は共通なので、もったいないです。  あるいはもっと単純に、別に屈折した感情を全く持っておらず、寧ろ一度は専門的な指導を受けてみたいという方もたくさんいらっしゃると思います。というよりはこちらが大半だと思います。  そういった方に是非強豪校の指導者がどういう指導の仕方をしているのか知る機会を設けたいと思いました。それを知ることが出来れば、「あっ意外と大したことないんだな」という気持ちと「あっここは自分にも物凄く勉強になるな」という部分の両方があると思います。それを知ることでまたこれからのランニングに対する取り組み方が変わってくると思います。  先ずコンプレックスを抱いている人からしたら、「どうせ俺なんか」「どうせ私なんか」と思っている人は、考え方を変えて「どちらかと言えば、俺はエリート」「どちらかと言えば私はエリート」と思ってしまった方が成長は速いです。  私は自分で身をもって経験しているので、環境の違いが生み出す違いも大きいと思いますし、多分生まれながらの遺伝子の違いも影響すると思います。  とは言え、そんなものは所詮程度問題で絶対的な壁がある訳ではないので、考え方をいわゆる専門的な方に寄せてしまった方が良いです。要は「自分は専門的な考え方、知識を持っているエリートだ」と思ってしまった方が絶対に速くなります。  早い話が結果が出ている人のやり方はより正しいし、結果が出ていない人のやり方はより正しくない訳です。繰り返しになりますが、そこから環境、遺伝子、年齢、性別、走歴などを考慮に入れる必要はあります。その必要性はありますが、結果が出ている人のやり方の方が基本的には理に適っているので、コンプレックスは捨てて自分もそのエリートになってしまった方が良いのです。  では、どうすればエリートになれるのか?  その為にはエリートがどのように考えているのかを知らなければいけません。多分知ってみれば、「意外と大したことない」という考えと「ここは今の自分にとっても物凄く参考になる」という部分の両方の考えが頭の中を占めるはずです。  そういったことのくり返しで、潜在意識から自分の考え方、行動、練習が変わっていきます。  ちなみに、このように書くと「私はエリートにならなくても良い」「私はエリートじゃない」と思う人が物凄く出てくるのですが、そういう話ではなくて何をやるにしてもエリートの考えを持っておいた方が早いということです。  別に目標はサブ4でも良いし、サブ3.5でも構いません。マラソンだけではなくてハーフうマラソンで1時間45分を切るとか、5000mで22分を切るとかそのくらいのレベル感でも構いません。ただ、何をやるにしてもエリートの考え方を持っていた方が話は早いんです。  弊社副社長の深澤哲也も8年間のブランクを経て再び走り出し、たった3年間でハーフマラソン71分、マラソン2時間47分までもってきました。昔取った杵柄というのは長距離走、マラソンにはありません。初めは本当に5キロ走るだけで筋肉痛だったそうです。  5キロのレースに出たら筋肉痛になったという意味ではないですよ。とにかくジョギングで5キロ走ること自体がきつかったそうです。  我が妻も昔は1500mと3000m障害で4年連続インターカレッジで入賞し、一度は優勝もしましたが(日本一)、それも今は昔、現在は全力で走っても5キロで25分切れるかどうか怪しいところです。  長距離走、マラソンなんてそんなもんなのですし、特に深澤の場合、高校では5キロまでしかやっていないので、ハーフマラソンやマラソンは未知の領域です。ただ、考え方自体はエリートの考え方を持っていたので早かったです。  で、このエリートっていうのはただ単に他の人が勝手にそう言っているだけのことなんです。深澤本人は自分がエリートだったなんて一切思っていなかったですし、寧ろ高校三年間は挫折経験の方がはるかに多かったはずです。  これは私自身も同じです。競技人生の中で挫折の方がはるかに多かったですし、自分がエリートなんてこれっぽちも思っていないです。  ただ、挫折もしたし、一応人並み以上に実績も作ったし、その中でたくさんのことを学んだし、経験したし、その中から他の人の役に立つことと役に立たないことも知っています。  でも、そういった知識とか経験を基に市民ランナーの方にお伝えしても、結局「自分とは違う」「自分はエリートじゃないから」「自分はプロじゃないから」「自分は市民ランナーだから」の一言で済まされてしまうことが多々ありました。  それって本当にもったいないことなので、そこまで言うならこの機会に是非実態を知ってみたらどうかと思った訳です。  繰り返しになりますが、理屈は全部同じで、日の丸を背負う選手を育て上げたような指導者でも普段走っていなかったらただのおっちゃん、おばちゃんです。自分が速く走れるわけではありません。  ただ、トレーニングとか走り方とか心の使い方とかをご自身で理解されているので、サブ4するにしても、サブ3.5するにしても早いということです。だから、別に目標はなんでも良いし、現状の走力もなんでも良いんです。  ただ、今後の為にも一回くらいそういう機会を作ろうということです。  そんな訳で、3月25日午後3時より1時間半奈良育英高校の尼崎達也先生をお招きして、ズームで対談を行いたいと思います。  尼崎先生は洛南高校時代に5000mで京都府インターハイ優勝、近畿インターハイでも3位入賞し、インターハイに出場、全国高校駅伝は1年生の時に4区、3年生の時にはエース区間の1区を走っています。  その後明治大学に進学し、箱根駅伝出場を目指すも度重なる故障に勝てず、出場は叶わず、その後は競技を続けることも考えたそうですが、奈良育英高校で長距離の指導にあたらないかとの声がかかり、奈良育英高校の指導にあたることを決意されました。  女子はある程度の素地があったものの男子は一からのチーム作りで部員集めからスタートし、一年目は男子は奈良県高校駅伝で4番にしかなれませんでした。が、次の年から昨年までは男女ともに5年連続で2位に入っています。  2位が評価に値するのかしないのか、これも先ほどからの話と同じで上を見ても下を見てもキリがないとしか言いようがありません。尼崎先生はずっと奈良県予選で優勝し、全国高校駅伝に歩を進めたいと考えておられるので、満足はされていないかと思いますが、私は県の中でずっと2番ならエリートということにしておかないとキリがないでしょうし、「いわゆるエリートの実態を知る」という今回のウェビナーの目標は達せられると思います。  尼崎先生は洛南高校陸上競技部で私の二級下の後輩にあたります。今回対談をお願いした理由は大きく分けると二つありまして、一つ目は尼崎先生賢いことです。今まで色々な方にお会いしてきましたが、尼崎先生は陸上界の中でダントツに賢い方です。  なんとなくこうやっている、とりあえずこうやっているというのがなく、ご自身の指導の中に根拠をもってされているので、勉強になります。もちろん、これから更に改善をしていく中で、とりあえず今はこういうやり方でやってみているというようなことはあると思いますが、数ある選択肢の中からとりあえず現状このやり方でやっているのであれば、そこには何らかの根拠があるのが尼崎先生です。  繰り返しになりますが、具体的な練習内容ではなく、この根拠の部分が重要なので、この根拠とか考え方の部分を色々お聞きしたいと思います。  二つ目の理由は、現役時代の経験が指導者としての現在にどうつながっているかを聞いてみると勉強になると思ったからです。尼崎先生は現役時代、非常にセンスあふれる選手で現在も洛南高校陸上競技部の長距離の指導にあたられている奥村先生も「将来日の丸を背負える選手」と評価していたくらいです。  のちに実際に日の丸を背負った三浦龍司君や佐藤圭汰君を初め、これから日の丸を背負う可能性のある選手を何人も育ててこられた奥村先生の評価ですから信憑性は高いです。  私の目から見てもセンスは抜群でした。身体的な素質というよりは「今自分が何をすべきなのか、何をやれば良いのか」が肌感覚で分かっている高校生でした。  ただ、故障が多く、故障には勝てませんでした。そうなってくると、尼崎先生が指導者になると聞いた時に私がぱっと思ったのは、センスがありすぎて指導者としては苦労するのではないかということでした。  故障が多く、辛い時期も多かったのは理解していますし、その苦しい状況にもめげずに地道な練習に取り組んでいたのも知っています。ただ、ちょっと走れば記録が出てしまっていたのも事実なんですよね。そういう意味では、苦労知らずで結果を出してきたと言えなくはないです。  あくまでも、故障明けでもすぐに記録が出せたという意味においてですよ。  当然、同じ感覚でいわゆる普通の選手、私のような普通の選手を指導することは出来ないので、指導者としてはどういうふうに選手を見ているのかなと、そこの部分も聞いてみたいと思って選んだのが二つ目の理由です。  ただ、今回のテーマとしては市民ランナーの方が速くなるために何を考えて何をすれば良いのかというテーマから脱線しないようにはします。  尼崎先生は市民ランナーの方の指導経験がある訳ではないので、そこの部分に関してはこちらで上手くコントロールしながら対談を進めさせて頂く所存です。 改めての確認ですが、ウェビナーの詳細は以下の通りです。 1日時 2023年3月25日午後3時  途中入室、途中退室可、お申込みいただいた方には後ほど復習用動画をお送り致しますので、アーカイブでのご視聴も可能です。 2場所 オンライン ズームを用いて開催いたします。スマホでご参加の方はアプリでズームを追加してお待ちください。 3時間 90分 4参加費 1000円   克己会員様は無料でご参加いただけます。サイトにログインした状態でお申し込みください。  それではこちらをクリックして、お申し込みください。


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ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:32:18(2024)

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