あなたは最近ピークを合わせているレースがあるでしょうか?
私はあります。私のブログ読者様の中の数百名の方があります。今これを執筆しているのは10月下旬、これから長距離走、マラソンでは最も記録が出る季節へと突入していきます。
レースが近づいてくるとやはり頭を悩ませるのが、最後の調整の仕方です。今回はその調整について考えていきたいのですが、私の意見ではなく、30年近くアダム州立大学を率いて、チームとして19個の米国タイトル、個人での11人のタイトル獲得者を育て上げ、プロの選手としては世界クロカンで20個のメダル獲得者、団体でのメダル獲得を育て上げたジョー・ヴィヒルコーチの調整方法を紹介させて頂きたいと思います。
マラソンナーでは、オリンピックでメダルを獲得したディーナ・カスター、メブ・ケフレジキを指導したことでも有名です。
この世界で最も難しいことの一つは、分からない頭で分かっている人の考え方を理解しようとすることです。つまり、分からない人間からすれば、誰が分かっている人で誰が分かっていない人かを判断するだけの知識や経験を持ち合わせていないのです。これは私も例外ではありません。
しかしながら、一つ確実に言えることは、ただ単に記録を出せば良いというのと違って、米国タイトルや世界クロカンのメダル、オリンピックのメダルを獲るには狙った日に最高の状態を持ってこれなければいけないということです。
つまり、結果から判断するならば、コーチヴィヒルは長距離走において調整というものをかなり深く理解している指導者の一人であるということです。今回はそんなコーチヴィヒルの調整方法をなるべく無加工でお届けさせて頂きたいのですが、その前に調整という概念を簡単に説明させて頂きたいと思います。
調整と言うのは、主に目標とするレースの前に練習を軽くしてフレッシュな状態を作ることを目的としています。そうすることによって、目標とするレースで最高の結果を出すことが出来ます。この調整というのはピーキングとはまた別の概念です。
ピーキングと言うのは、3か月から半年間かけて一つのレース、あるいは複数のレースに向けて準備をして、狙ったレースに向けて最高の状態を作るためのトレーニングの全体像と言って良いと思います。例えばですが、コーチヴィヒルの場合は、下記のような全体像を使います。
基礎構築期 12-15週間(トレーニング量を増やす、持久走が中心、マイルリピートや登坂走の導入)
レース前期 6週間(練習量は維持しつつもレースペースの練習を増やす)
試合期 6週間(レースペースよりも速いペース、レースペースの100%から120%の練習を増やす)
調整期 1-3週間(練習量を減らし、本当のスピードを身につける)
休養期、移行期 2-4週間(積極的休養)
どの講演録、書籍を採用するかによって言葉や各期間の長さは変わっていますが、概念は完全に同じです。先ずは休養期から入ります。そして、その次に総走行距離を増やし、持久走を導入し、流しなども入れながら、先ずは有酸素ベースを作ります。そして、ファルトレク、登板走など基礎スピードを徐々に導入していき、遅いペースでのマイルリピートも導入します。次にレースペースに近い、あるいはレースペースのトレーニングを導入していきます。引き続き、スピードセッションも継続していきます。
そして、最後に調整期があります。このようにシステマチックに準備をしていって、最後に調整をしてレースに出場し、自分の最高の状態を作っていきます。このような過程になっておりますので、調整だけで結果を出そうと考えるのは虫が良すぎると言えます。決して、調整とはそういうものではないのです。言ってみれば受験勉強のようなものです。
受験の三週間前とか二週間前になっていきなりこれさえやっておけば、京大合格間違いなしというものはないでしょう。あくまでも、過去数年にわたる勉強の積み重ねで合格できるかどうかは決まる訳です。しかし、いわゆる受験勉強と呼ばれる最後の調整や特異的な準備によって合格率をいくらか上げることが出来ます。
調整も基本的には同じ考え方です。最後の一押しです。そして、長距離走、マラソンの場合はそれだけではすまないものがあります。受験勉強の場合、直前になって大きく失敗するということはあまりありません。直前に勉強しすぎて、状態を落としてしまったとか、6日前のあの勉強で集中しすぎて本番力を出しきれなかったというのは考えにくいです。
ところが、長距離走、マラソンはこういうことが平気で起こるのです。ですから、今回はそうならないように、コーチヴィヒルから調整方法を学んでいきましょうという企画です。先述の通り、以下はなるべく直訳になるよう私の考えを間に挟まずに訳し、まとめさせて頂きます。
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